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Headlin News
「二輪車の運動特性部門委員会公開委員会」

日時:平成15年3月28日(金)13時30分~

場所:社団法人自動車技術会(東京都千代田区)

「IT を活用した安全支援システムの紹介」

まず、本田技術研究所の櫛田和光氏が、「IT を活用した安全支援システムの紹介」と題し、ホンダが開発したASV-2とASV-3を中心に、講演を行った。二輪車の関連する事故では、出会い頭と右直事故が多いことを紹介した。その上で、ASV-2の紹介を行った。ASV-2ではは、四輪車と二輪車の間で、通信技術を用いて相互に車両情報を提供するシステムを開発した。ヘッドアップディスプレイや音声を用いて、ドライバーやライダーに対向車の存在などの情報提供を行うもの。四輪と比較して、ライダーに提供する視覚情報の情報量を極力少なくして、周辺視を利用するとともに、音声情報を主体とすることが紹介された。


ASV-3は、現在開発中のシステムで、全ての車両のみならず、歩行者や自転車も含めたAd-hocな自律分散ネットワークを形成し、歩行者や自転車、対向車の存在を、ドライバーとライダーに情報提供する。普及率が低い時点でも効果があるシステムを構築することを目標としている。安全性だけでなく、利便性や楽しみを向上させるシステムを狙うという。システムの規模は、最大で120台の車両が通信を行うシステムとなると想定されている。このシステムでは、客観的な情報提供を行うもので、警告をすることは考えていないことを明らかにした。


櫛田氏は、質疑応答の中で、「ASV-3のシステムには、信号機の情報を取り入れられればいいが、それは考えていない。できれば「理想」である」との見解を示した。これは、ASV計画が、路車間通信を考慮しないものであるためと思われる。

「二輪車事故について」

次に、科学警察研究所の上山勝氏が、科警研で行っている研究を紹介した。科警研で行っている研究の目的は、刑事責任追及のための事故捜査のために、科学的な分析を開発することだとした。特に、速度の推定、乗員の挙動、運転者の識別が、主な研究の対象であるとした。二輪車では、二人乗りの場合、両方や、一方が死亡した場合、どちらが運転者であったのか、ということが、生存者の証言以外にない場合が多いので、運転者の識別が重要である。


そして、二輪車と四輪車との衝突事故の再現のための衝突実験の模様を紹介した。この中で、二輪車の衝突では、フロントフォークや前輪の損傷度で二輪車の衝突速度が推定できる。フロントフォークや前輪がつぶれている間は、乗員は衝突していないので、この段階で、二輪車用のエアバックなどが考えられるとした。また、速度が低いほど、投げ出される可能性が高く、速度が高くなると、二輪車が四輪車に潜り込み、投げ出されないことが紹介された。また、二人乗りの場合、運転者は一人乗りの運転者と挙動が同じである場合が多いが、同乗者は、投げ出され後頭部に負傷する事例が多いという。またズボンの傷を調査すると、運転者と同乗者と負傷する部位が違うことがわかる。


次に、交通事故自動記録装置(TAAMS)で記録された実際の事故の映像を紹介した。現在までに、二輪車が関連する事故では、30例を収集している。衝突実験には費用がかかるので、シミュレーションなども活用している。TAAMSの映像を使って、シミュレーションを作成していることを明らかにした。さらにTAAMSは、事故車両のナンバーなどが記録できないため、事故捜査用のシステムではなく、事故調査用のシステムではないか、という指摘もあることを紹介し、プライバシーに配慮していることを強調した。

(2003/03/28)
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