調査研究報告会では、まず、鳥取大学教授の喜多秀行氏が、「過疎地域における生活交通サービスの調達方策に関する研究」について報告を行った。過疎地域でのバス便に対する需要選好を表出するシステムを開発し、それを使い、実証実験を行った模様を紹介した。
次に、千葉工業大学の赤羽弘和氏が、千葉県鎌ヶ谷市を舞台とした「自治体における市民参加型交通安全対策支援システムの研究」について報告を行った。この中で、赤羽氏は、システムの概要を解説するとともに、「ヒヤリ情報」に基づく、道路の改善事例を紹介した。
質疑応答の中で、seatbelt.netを運営する上田啓史は、「ホームページのヒット数が一日あたり平均21件というのは、少なすぎる。その原因は、地図情報データが重たいことやユーザーインターフェイスが悪いこと、ActiveX技術を採用しているためではないか。」と指摘を行った。これに対して、赤羽氏は、「データを軽くする工夫などをしている。ブロードバンドの普及は、我々に対して追い風になっている。アクセス数は少ないが、『ヒヤリ情報』が継続的に集まっている。ActiveX技術については、Macintoshからアクセスできないなどの問題を認識している。」と説明をした。
3番目に、帝塚山大学教授の蓮花一己氏が、「高齢ドライバーへの教育・指導プログラムの開発」について報告をした。この中で、京都府の山城田辺自動車学校と青森県の青森モータースクールで行った、高齢者向けの教育プログラムの事例を紹介した。確認行動などに力点を置き「行動修正法」を用いたプログラムを紹介した。
最後に、日本大学理工学部の福田敦氏と、横浜国立大学大学院環境情報研究院の中村文彦氏が、「開発途上国におけるオートバイの都市交通手段としての役割と限界に関する研究」について報告を行った。タイやベトナム、カンボジアを中心とする東南アジア地域での、経済状況とオートバイの普及率の関係など、オートバイの利用実態を報告した後、交通安全に関するアンケート調査の結果を報告した。
特に、乗車定員の超過やヘルメットの未着用が目立った。四輪との比較では、四輪のシートベルトの着用率より、二輪のヘルメット着用率が低かった。安全教育に関しては、政府では行っておらず、二輪メーカーでも本田技研工業が行っているだけだった。
中村氏からは、バンコクとプノンペンの二輪タクシーの実態が報告された。 |