昨年度と同じ実験、評価方法
2001年度の「自動車アセスメント」のポイントは、2000年度と同一のフルラップ前面衝突試験、オフセット前面衝突試験、側面衝突試験の3種類の「衝突試験」を行い、その試験結果の数値を「点数化」し、さらに3種類の衝突試験の点数を総合し、星印を付けて「評価」する、その手法が2000年度と2001年度で共通化された。試験方法、評価方法が固定されたことは、自動車アセスメントの基本骨格が完成したと言えるだろう。
a[参考]自動車事故対策センターのホームページ
衝突安全性能試験方法
衝突安全性能試験結果の評価方法
昨年度の試験結果との比較が可能に
さらに評価方法を固定したことで、2001年度の自動車アセスメントは、2000年度の試験結果と比較が可能になるという大きな成果を得た。例えば、2000年度に実施されたトヨタ・ヴィッツと、2001年度に実施されたホンダ・フィットの試験結果を直接比較できるようになった。これによって、一年では少数の車種の試験しかできないが、年度を重ねることで多くの車種を試験対象にすることができ、広範囲の比較検討が可能になる。試験を実施した全車種を対象に分析すると、2000年度と2001年度との比較では、運転席は3.8個が4.7個に、助手席は4.4個から5.1個に増加した。一年間で、これだけの「進歩」があったことが、わかる。
[参考]自動車事故対策センターのホームページ
トヨタ・ヴィッツ(2000年度実施)
ホンダ・フィット(2001年度実施)
トヨタ・カローラ(2001年度実施)
ニッサン・サニー(2000年度実施)
運転席、助手席とも、6点満点が登場
2000年度の試験では、運転席について「六つ星」がなかったが、2001年度の試験で、ニッサン・スカイライン、トヨタ・ウィンダム、トヨタ・イプサムが、「六つ星」を獲得した。この三車種は助手席でも「六つ星」を獲得しており、「満点」を得たことになる。
軽1BOXは明確に点数が低く、乗用車タイプは大幅改善
2000年度の試験では、軽自動車は1車種が助手席で「四つ星」を獲得しただけで、運転席は全ての車種で「三つ星」しか獲得できなかった。しかし、2001年度の試験では、乗用車タイプは、全ての助手席が「五つ星」、運転席が、3車種が「四つ星」、2車種が「五つ星」を獲得し、大幅な改善が見られた。一方で、1BOXタイプの軽自動車2車種では、運転席、助手席とも「三つ星」しか獲得できず、乗用車タイプと比較して、安全性に差があることが明らかになった。
「加害性」も評価対象に
国土交通省と、自動車事故対策センターは、将来的には、自動車の加害性を評価することを目指し、自動車の歩行者保護性能に関する調査研究を実施している。さらに車種別死傷率を公表することを検討している。加害性の評価は、交通事故の実態を考慮すると、正しいと思われる。また「実験室」の世界である「自動車アセスメント」とともに、「現実世界」の結果である車種別死傷率の公表は、「車の両輪」となると思う。
後部座席の実験、評価を求める
2001年度の自動車アセスメントが実施、公表されたことで、自動車アセスメント制度に「安定感」が出てきたと思う。安全性の比較ができるように、最終評価にばらつきがある間は、この衝突実験方法、評価方法を固定することが大切であろう。seatbelt.netは、国土交通省、自動車事故対策センターに対して、後部座席の乗員の安全性を実験、評価することを提案する。後部座席を対象とすることで、日本の自動車アセスメントが、世界の最先端に立つことになるであろう。
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