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Headlin News
基調講演

「今後の自動車安全対策」井口雅一 東京大学名誉教授

数値目標の設定による交通安全対策の計量化とその評価

まずは、交通事故死者数と事故件数、負傷者数の推移をあらわしたグラフを提示し、これは、これまでの車両安全対策の推進、救急医療対策、シートベルト着用率の向上による成果とも考えられる。

しかし、死者数の減少を、喜んでいて良いのだろうか、という疑問がある。2010年を目標に車両安全対策により、死者数を1200人減少させるという目標を運輸技術審議会で設定した。しかし、当時の建設省、警察庁からは、死者数減少目標の設定を反対する意見があった。しかし絶対安全はあり得ず、リスク管理が大切である。

数値目標には、安全対策すべてを数量的に取り扱えるようになる。目標設定、計画、実施、評価のサイクルを設定できる、というメリットもある。技術変化など、環境条件の変化に対応にも可能になる。10年後の評価時点では、Plan、Do、Seeのサイクルをいかに動かしたか、ということを評価すべきである。

死者数のみを評価することに意味があるのだろうか。死者数は、交通事故全体の1%に過ぎない。社会的損失を考えれば、重篤な後遺症を負った負傷者の社会的な損失が大きい、という今後の課題がある。目標は、変化する可能性もある。

政府予算の削減による、交通安全対策の重点化、効率化が必要。類型別の事故形態で、追突が増えている。追突は、技術的な対策がとれる可能性もある。

ダンプやトレーラーなど、加害性が高い車両にしぼって、対策をすべきと言う意見や、シートベルト非着用者に重点的な対策をすべきという意見もある。自動車研究所が所在する筑波など、田舎では、特に飲酒運転対策が課題である。

コンパティビリティは、どこまで追求できるのか、という問題もある。特に歩行者など、保護する物質がないアクターに対する対策を考えることが必要である。

ASVによる事故予防対策。事故の90%はヒューマンエラーである。鉄道や航空機では、運転者の過失を問わないという方向性がある。システムでバックアップしなければならない。フールプルーフ、フェイルセーフは充実してきたが、自動車には、バックアップ機能はない。運転の自由を制限するが、それは仕方がないだろう。自由な運転がしたければ、サーキットなどに行くべきだというコンセンサスを醸成することも課題である。

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