AHS研究組合の保坂氏が、AHSの現状と開発中の技術の紹介を行った。
AHS研究組合では、車両と道路が協調して、安全を向上するシステムを開発した。次に、車両と道路を協調するシステムと、車両単独のシステムとの比較を行い、この長短を比較した。
開発の目的として、安全性の向上を重点とした。ドライバー支援の内容として、認知、判断、操作の各段階においてサポートを行うシステムを開発している。第一段階として、情報支援を考えている。
その後、AHSの実験の模様を紹介するビデオを上映した。名阪国道での事故車両を検知し、ドライバーに知らせ、事故を防止するシステムが取り上げられた。日本全国で7か所の実用実験を行うことを紹介した。
路車協調のシステムの課題について、車両と道路の開発を双方で推進すること、相互補完性を確保すること、責任についての明確化などを指摘した。
もう一つ、重要なのは、費用便益の問題であることを述べた。
石田氏は、国土交通省で先進安全自動車の取りまとめを行っている。ASV推進計画の紹介を行った。現在では、ASVは3期計画に位置し、実施に関して、その障害を取り除く作業を行う段階である。ASVに関しては、テストコースにおいては、十分に走れる状況にあるが、一般道では導入されていない。その原因は、何らかの障害があるためである。その障害を除くために、運転者の支援に範囲を限り、運転者と社会から受容されるようにすることを考えていると述べた。
ASVの可能性として、ASV技術が全車に導入されたと仮定すると、4割の事故を削減できると推定される。
ASVの課題として、継続的な技術開発の必要性、技術を普及させるためのインセンティブの創設、社会的受容性を高める必要性、ASV技術の効果の測定をする必要性、普及のための具体的な計画の推進を挙げた。
特に、自動運転に近いシステムではなく、被害低減を主眼とするシステムを積極的に推進しており、その理由は、運転者がシステムを過信する事態を避けるためであるとした。
政府が行動する必要性として、既存制度が弊害となる可能性や、世界的に制度を整合させる必要性があるなどの理由を挙げた。
古川教授からITS技術全般に対する概略的な紹介がされ、山田氏がISOにおける国際標準化活動の報告を行った。
Minarini氏は、欧州におけるインテリジェント自動車交通の概要を説明し、市場化に対する「ボトルネック」を紹介した。ボトルネックには、技術的な課題の他、規制や、法制度、社会的な受容、ビジネスモデルの欠如などが指摘された。
Schwarz氏は、自動車メーカーの立場から、1999年からACCをメルセデスベンツSクラスに導入したことや、メルセデスのトラックに、ACCと車線逸脱警告システムを2000年から導入したことを紹介した。乗用車のユーザーは、全てのものを欲しがる傾向にあるが、コストを低減して、顧客満足度を向上する必要性を指摘した。アシスタンス技術の限界を、どこに設定すべきなのか、という問題があることを指摘した。
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