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Headlin News
自動車安全対策の検討状況の報告

  • 「自動車安全対策に関する行政の取組みについて」松本和良 国土交通省自動車交通局技術企画課長    
  • 「交通事故調査分析について」堀野定雄 神奈川大学工学部助教授    
  • 「先進安全自動車(ASV)の開発・普及についての取組み」青木正喜 成蹊大学工学部教授

交通安全政策の政策過程−Plan、Do、See

松本和良 国土交通省自動車交通局技術企画課長

まず、交通事故の現状を概観した。事故件数、負傷者数は増加している。自動車安全対策のサイクルを実施している。安全基準は、最低限の安全来を示す。自動車アセスメントは、ASVは、先進技術を計画的に開発し、普及を目指す。3つの安全対策に対するそれぞれの検討会を設置。車両完全対策懇談会が全体を俯瞰、助言する。

安全基準の国際調和。安全、環境を損ねないという前提で積極的に推進している。認証の相互承認。認証に関わる期間と費用を節約できるメリットがある。2003年度末までに、全部で30規則を採択することを目標にしている。グローバル協定については、1998年に成立。協定加盟国の全会一致が必要。15項目の優先項目について、世界基準案の検討を進めている。

昨年度の自動車安全シンポジウムで発表した6項目の推進状況の報告。運転視界基準の導入は、本年中に実施予定。ハイマウントストップランプの装備義務づけは、7月に保安基準改正。大型車後部突入防止装置は、7トンから3.5トンに範囲を拡大。スピードリミッタは、昨年の8月に保安基準を改正。使用過程車にも適用する。歩行者頭部保護基準の導入は、現在、パブリック・コメントを実施中で、本年度中の保安基準の改正を目指している。オフセット衝突基準は、40%の正面衝突を模擬している。

課題項目は、予防安全分野、被害軽減分野は、次の通り。横滑り防止装置は乗用車などを対象に考えている。ブレーキ関連ではブレーキアシスト。貨物車に対するフルラップ全面衝突対応ボディの導入や、ISO FIXチャイルドシート。シートベルト非着用慶応装置の助手席や後部座席への導入や、後部座席中央3点式シートベルトの義務づけの検討。

ホール側面衝突対策や、車室内装備の安全性の向上。フロント・アンダー・ラン・プロテクター。のむちうち低減シート・アクティブヘッドレストの導入で、歩行者の脚部の保護基準の導入を検討。

事前効果評価。フロント・アンダー・ラン・プロテクターの導入では年間143名の死者を低減する効果があると予測する。規制の事後評価手法の確立。

 

堀野定雄 神奈川大学工学部助教授

事故分析部会部会長。まずは、現状を概観。事故類型別では、追突と出合い頭の衝突が顕著に増えている。死者は減少しているが、10年間で倍程度に重度後遺障害が増加している。

次に交通事故分析について説明した。直接的要因と間接的要因の虜法の事故原因の究明。事故メカニズムの解明。事故の類型化。受傷メカニズムの解析。効率的な対策の立案、対策効果の事前・事後の評価である。

事故調査・分析の実施分野。人的要因、道路交通環境、車両構造、人体傷害、運行管理などを分析する。マクロ調査分析と、ミクロ調査分析を実施している。ミクロ分析は、イタルダのつくば市の事例を調査・分析している。

トラックの係る事故の分析。現行は、重量区分に基づいているが、重量と車長によるクロス分析を行ったが、明確な相関関係を得られなかった。更なる分析が必要だといえる。

体格の小さい人は、大きい人比較して、事故を起こしやすいのではないか、負傷しやすいのではないか、という仮説を検証したが、警察の事故データに身長や体重といった項目がなく、マクロ分析ができなかった。

出合い頭事故対策として、一時停止線を引く位置の基準を検討する必要があることが判明した。交差点の設計の見直し、交差点と車両のインタラクティブなつながりを検討する必要がある。

マクロ分析でいろいろなことが判明したが、マクロ分析ではシートベルトの効果で怪我を負わなかった人は統計の対象にならないので、分析できない。ミクロ分析の規模を大きくし、日本全体の事故を反映しているとはいえない、人工都市のつくば市以外でもミクロ調査をする必要がある。事故の再発防止に焦点を当てたデータの収集をする必要がある。

 

青木正喜 成蹊大学工学部教授

ASVとは、最新のエレクトロニクス技術を使って周辺情報を把握し、情報提供、自動車の制御を行い、運転者の運転を助けるのが目的。

ITSという上部計画があり、その一部にASVが位置している。ASV導入後は、36.7%の死亡事故を軽減する効果がある。ASV計画は、現在は、第3期に位置し、普及促進、技術開発期にある。

ASVの代表的技術として、車線維持支援装置、前方障害物衝突防止支援システムを紹介した。ASVで開発した、衝撃感知ドアロック解除システムは16.0%、横滑り防止装置は3.9%普及している。

ASVの基本理念として、ドライバ支援や、ドライバの受容性を高める工夫や、ドライバの「過信」を招かないものにすること、社会受容性が高い、効果が高い技術を開発している。制度的な整備も必要である。

現在は、第3期ASV計画が進行している。ヒューマンインターフェイスや社会受容性、ハイテクへの依存などの課題がある。自動車メーカーによる、研究開発の一層の促進と、普及が望まれる。

現在のASVの技術開発は、次世代技術の開発を行っていて、自律型自動車の開発、車両間通信による制御、道路と車両の通信による情報の共有などの課題がある。普及に向けた検討は、インセンティブ施策の検討や、社会受容性を高める方策の検討、ASV技術の効果分析、実用化の指針の策定を進めている。

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