山ノ井利美 日産自動車株式会社先行技術開発本部主管
交通安全対策について、日産自動車の果たすべき役割、お客さまに対する責任、安全な車社会の実現に向けて、という
日産の安全の目標。日産車の関わる交通事故の死亡・重傷者の対1995年比半減を目標と設定。これをReal
World Safetyの追求とする。運転席エアバック、ABS、助手席エアバックなどを早期に採用、設定の拡大をしてきた。アクティブ・ヘッドレスト、SRSカーテンエアバックを早期に標準装備にすることを目標している。
現実の事故を分析して、その結果を対策に活かしている。2001年までに12.4%の削減を実現している。状態別では、自動車乗車中は50%を占めている。
特に自動車乗車中の事故について、特に説明する。新旧の自動車別に、衝突部位別死亡・重傷者数の変化を説明し、全面衝突では27.8%減少している。これは、衝突安全性能の改善が効いている。側面では、33.3%減少しているが、後部の衝突では、ほとんど変化がない。
傷害部位では脚部が最も多く、シートやペダルの改善を行っている。2001年度の自動車アセスメントでは、日産スカイラインが両席三ツ星を獲得した。
側面衝突では、損傷部位は、頭部と頚部が多く,胸部が続いている。カーテンエアバックの採用を拡大している。
後面衝突の安全性の向上に向けて、アクティブヘッドレストの採用を拡大している。
コンパティビリティの問題にも取り組んでいる。SUVが側面から衝突してきた際の対策を研究している。さらに人体に近いダミーを使用して、評価している。
日産自動車の取り組みとして、目標の設定、事故分析による対策の策定、その実施による
日産の安全の取り組みにおけるコミットメントとして、「将来を見据えた、革新的で創造的な技術開発の推進」「」を挙げた。
杉本富史 株式会社本田技術研究所栃木研究所上席研究員
安全技術の方向として、世界の事故実態では、四輪車、歩行者、自動車相互の衝突が40%あり、さらなる研究が必要。二輪車も四輪車との衝突が大半、人的要因では、認知ミスが大半という現状がある。
Car to Carの衝突では、大きいクルマと小さいクルマが衝突し、小さいクルマの被害が大きいことが判明。固定バリアと比較して、小型車に厳しいといえる。自分を守る、相手に対する攻撃性を低減させるという二面の対策が必要。
全世界的に衝突事故の約半数が正面衝突、オフセット率は、50%が最も多い。ターゲットに、オフセット率50%に設定。相手車両を2トン、衝突速度を50km/hに設定した。
シミュレーションで解析を行い、問題点を抽出。高度な衝撃吸収性能が必要で、キャビン強度の向上や車体フレームの改善が必要。攻撃性の低減では、車体先端部分の加重分布の評価を行っている。ほぼ全てのホンダ車に適用を完了している。
歩行者保護も重要である。死亡事故では頭部、重傷事故では脚部が収容。ダミーの開発を通じて、傷害値の基準づくりを行う。車体形状により、ダミーの挙動が違うことが判明している。ヨーロッパのアセスメントでクラストップになっている。
予防安全技術については、ASV開発プロジェクトを通じて開発を行ってきた。認知、判断、操作のそれぞれに運転支援を行うが、認知ミスにウエイトを置いている。
二輪車事故は、若年者、初心者が多い。危険予知能力の向上を目指して、二輪用ライディングシミュレーターを開発した。
全ての人の安全を考えるホンダの安全思想。Real Worldの安全技術の開発の推進が、ホンダの安全技術である。
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