基調講演を行ったのは、自動車事故対策センターの企画開発室長として、自動車アセスメントに関してマスコミにも登場していた和迩健二氏である。
国土交通省の車両安全対策の基本的な考え方として、事故分析・効果評価を踏まえた効果的な対策の実施をしていると述べた上で、1)
安全基準の拡充・強化、2) 先進安全自動車(ASV)の開発・普及の促進、3) 自動車アセスメントの実施が、政策の柱だと紹介した。これらの政策を実施する際には、基準の国際調和を図っているとした。
次に、効果的な対策を実施するために、事故実態の把握・分析「PLAN」、安全対策の実施「DO」、対策の効果評価「SEE」の、自動車安全対策のサイクルを回していると述べた。事故実態の把握・分析では、「事故分析部会」が、安全対策の実施と対策の効果評価では、「安全基準検討会」が設置され、専門的な議論を行っている。
第2回シンポジウムで導入決定を報告した大型トラックへのスピードリミッタの装着義務づけなどを説明した後、第3回シンポジウムで「時期安全基準化候補項目」として提示した14項目のうち、1)
運転席のシートベルト非着用警報(警報音)、2) 固定機能付きチャイルドシート、3) 乗用車などの歩行者脚部傷害軽減ボディ、4)
トラックのフロントアンダーランプロテクタの4項目を義務化すると発表した。
また、検討を進めるため、ワーキンググループが組織されたのは、ブレーキアシスト、コンパティビリティ改善対策ボディ、むちうち低減シート/アクティブヘッドレストの3項目。
今後、検討課題として残されるのは、後席中央3点式シートベルト、大型車のフルラップ前面衝突対応ボディ、横滑り防止装置などである。
シートベルトやチャイルドシートの効果が発揮されるように、シートベルトキャンペーンを開始するとともに、近年の事故実態を踏まえ、高齢者の安全対策を重点的に検討すると述べた。
さらなる安全対策を進めるには、インフラ(国土交通省道路局)や、ドライバー(警察庁交通局)との連携が必要になりつつあるとの認識を示した。
最後に、 車両安全対策の効果の事後評価手法を 2005年までに確立する必要があるとした。
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