堀野氏は、まず1月の内閣総理大臣談話と第155回通常国会施政方針演説を振り返り、政府が死者半減という政策目標を掲げた意味を強調した。
次に、年齢層別に交通事故死者数を分析すると、64最未満の層は減少しているが、65歳以上は増加していると指摘した。状態別では、歩行者の死者は依然として多いが、自動車乗車中の死者が増加しているという。事故類型別では、高齢者が第一当事者となったのは、出会い頭が多かった。法令違反別ではスピード違反は少なく、通行区分違反や漫然運転などが多かった。
高齢者の交通事故増加の背景として、高齢者人口の増加と高齢運転免許保有者の増加が挙げられた。
さらに高齢者の自動車乗車中死者をシートベルト着用有無別で分析すると、非着用の死者が多いが、着用していても死亡する事例が比較的多く見られた。年齢が上がるにつれ、損傷主部位が、「胸部」である事故の割合が増加し、これらは、シートベルトが加害性を持っているためだと推定できると指摘した。
ほぼ、同種の車両相互の正面衝突事故で、18歳男性のケガは擦過傷程度であったのに対して、64歳男性は肋骨骨折などが見られた事例を紹介した。(財団法人交通事故総合分析センター(イタルダ)「特定の事故形態に関する集中的な事故調査・解析報告書(平成14年度)」)
また、高齢者の二輪車の事故では、出会い頭の事故が多いことを指摘し、一時停止がおっくうにならない機構の開発が必要だと問題提起した。 |