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Headlin News
第4回自動車安全シンポジウム −高齢者のための車両安全対策−
第2部 高齢者のための車両安全対策

神奈川大学工学部 助教授 堀野定雄氏

東京都老人総合研究所介護・生活基盤グループ  副参事(統括) 溝端光雄氏

筑波大学臨床医学系(整形外科) 講師 坂根正孝氏

事故分析結果

堀野氏は、まず1月の内閣総理大臣談話と第155回通常国会施政方針演説を振り返り、政府が死者半減という政策目標を掲げた意味を強調した。

次に、年齢層別に交通事故死者数を分析すると、64最未満の層は減少しているが、65歳以上は増加していると指摘した。状態別では、歩行者の死者は依然として多いが、自動車乗車中の死者が増加しているという。事故類型別では、高齢者が第一当事者となったのは、出会い頭が多かった。法令違反別ではスピード違反は少なく、通行区分違反や漫然運転などが多かった。

高齢者の交通事故増加の背景として、高齢者人口の増加と高齢運転免許保有者の増加が挙げられた。

さらに高齢者の自動車乗車中死者をシートベルト着用有無別で分析すると、非着用の死者が多いが、着用していても死亡する事例が比較的多く見られた。年齢が上がるにつれ、損傷主部位が、「胸部」である事故の割合が増加し、これらは、シートベルトが加害性を持っているためだと推定できると指摘した。

ほぼ、同種の車両相互の正面衝突事故で、18歳男性のケガは擦過傷程度であったのに対して、64歳男性は肋骨骨折などが見られた事例を紹介した。(財団法人交通事故総合分析センター(イタルダ)「特定の事故形態に関する集中的な事故調査・解析報告書(平成14年度)」)

また、高齢者の二輪車の事故では、出会い頭の事故が多いことを指摘し、一時停止がおっくうにならない機構の開発が必要だと問題提起した。

高齢者の運転行動

溝端氏は、高齢者の社会活動性が高いほど、死亡率が低いというデータを紹介し、生き生きした老後には「やさしく安全・安心の交通環境作り」 が鍵だと指摘した。

高齢者の事故の増加には、高齢者の免許保有者が増加しており、公共交通機関に転移していないことがあると主張した。その結果として、電動車椅子の利用も増えており、主な利用者は、長い歩行が困難な人などの利用が多いことを明らかにした。

さらに、溝端氏は、高齢運転者対策の基本的な考え方として、「正常老化」と「病的老化」を区別すべきではないか、と提案した。

高齢者の人体特性(バイオメカニクス)

坂根氏は、茨城県つくば市で財団法人交通事故総合分析センター(イタルダ)の実施するミクロ調査に参加しているため、このシンポジウムに、参加したと述べた。

加齢による身体機能の低下として、筋の萎縮や骨量の低下があると指摘したが、これは、運動・生活習慣に左右され個人差が多いとした。整形外科は、運動器疾患、外傷、傷害を扱う科目であり、加齢に伴う筋骨格系疾患には、骨粗しょう症などがあると述べた。骨粗しょう症、そのものが病気なのではなく、それに伴い転倒時などの骨折のリスクが増大することが問題だとした。

骨量が25%減少すると、骨の強度が半分に低下する。そして、脊椎圧迫骨折の有病率は、65歳を境に増加ある傾向が顕著であるので、65歳という年齢は、有意であると主張した。

さらに、移動能力は、日常生活動作(ADL)の基本であり、高齢者のモビリティーを確保することが必要であると述べた。

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